松保護士
Pine Protection

松枯れの原因

松くい虫による被害とされていた松枯れが線虫によって引き起こされる病気であることが分かったのは1970年代のはじめのことです。

このマツノザイセンチュウ(線虫)はアメリカから来た線虫で、マツノザイセンチュウ自身では木から木へと移動ができず、そのためマツノマダラカマキリ(カミキリムシ)の体内に入り移動します。
このマツノマダラカマキリ(カミキリムシ)は5月~7月の期間に成虫して健全なマツの枝の樹皮を食べ木から木へと移動します。このとき体内に寄生していたマツノザイセンチュウがマツ樹体内に移行します。

樹体内に侵入したマツノザイセンチュウは松のヤニを運ぶ樹脂道を移動しながら爆発的な増殖を果たし、水を運ぶ仮導管に障害をもたらすため根から吸い上げる水が葉に供給するのを妨げ水不足となり枯死する病気です。

松枯れ(マツノザイセンチュウ病)予防のための樹幹注入、枯れた松からマツノマダラカミキリが移動して他の木に感染するのを防ぐ処理が必要です。

松保護士の仕事

松保護士とは、全国に流行して松を枯らしているマツ材線虫病について幅広い知識を持ち、 被害現場に適した防除対策を考え、実際に作業指導を行う専門家です。

ただし、松保護士の仕事はマツ材線虫病から松を守ることだけではありません。私たちの生活と松との関わりなどを幅広く伝えていく役割も期待されています。そのためにマツ材線虫病に関することばかりでなく、松の歴史や文化、松という樹木の生理・生態、松の持つ様々な役割、マツ材線虫病以外の松枯れなどについても幅広く学び 松のエキスパートとなりうる人材です。

松保護士制度

(財)日本緑化センター において平成16年度から松くい虫防除対策等についての知識・技術を有する専門技術者を 養成する「松保護士資格養成事業」を実施しており、今年で9回目(16年度2回認定)を迎えます。

平成24年4月1日現在、全国で400名(男性384名、女性16名)の松保護士の皆様が、地域で愛されてきた松原や老松を守るとともに、松についての様々な知識の普及のために日々 活躍されています。
その被害の特性から、国、都道府県、市町村、個別の松林管理者及び地域住民等の関係者が一体となって、総合的かつ持続的に取り組むことが重要です。

特に、こうした取り組みを効果的に進めるためには、松くい虫防除関係の諸制度から現場技術に至るまで、広範で高度な専門知識に精通し、各地における防除活動の的確な指導を行うことのできる人材や、松くい虫被害の深刻さや防除対策の緊急性等について、社会的な理解を深めるための普及啓発活動を積極的に行うことのできる人材を計画的に育成確保していく必要があります。

三楽の仕事

三楽では、街路樹をはじめ記念物や貴重な松、財産である松林、個人のお客様の大事に守られてきた松を松枯れ病(マツ材線虫病)から守ります。

近年まで松(黒松・赤松)は人の暮らしにとても身近な樹木であり、もっとも大事にされてきた樹木でもあります。

日本の原風景とも言える松林の枯損は、関係者の地道な苦労も及ばず今まだ増え続け、ここ松本平でも深刻な状況にあります。

先人が守り残してきた地域の景観、松への愛情を後世に伝えるためにも、今出来うる最大限の予防・防除・診断・樹勢回復治療を行なって参ります。

プロフィール

名前
三原 伸能 (ミハラ シンノウ)
住所
長野県松本市村井町北1-9-41
連絡先
TEL&FAX 0263-87-4046
E-mail: info@sanrakugarden.jp
URL: https://www.sanrakugarden.jp/
経歴

平成3年 
京都 16代佐野 藤右ェ門氏に師事、植藤造園にて修学院離宮庭園管理桂離宮復元工事バンクーバー新渡戸稲造記念庭園都ホテル葵殿庭園などに携わる。

平成8年 
帰郷し、株式会社 光仙に入社。 園芸、造園、ガーデン工事、生花、園芸資材の企画・販売・設計施工・経営に携わる。

平成19年 
三楽を設立。個人邸、店舗の造園工事、植栽工事 設計施工・管理を中心に活動

平成20年 
樹木医資格を取得(登録番号 第1706号)

樹木診断・治療
ご相談・ご依頼から
調査・診断・治療の流れ

松(赤松・黒松・五葉松)の健康相談から松枯れ(マツノザイセンチュウ虫病)の診断・予防・防除 樹勢診断・樹勢回復治療を行います。
(営業エリア 長野県全域、関東、信越近県)

  1. Conferenceご相談・ご依頼
    樹木の調査、治療、土壌改良による樹勢回復などのご相談
    (電話・メールでのご相談無料)
  2. Investigation現地調査・診断

    ご予算・ご希望により、現場と周辺環境・土壌の確認、調査
    (\8000~+交通費)

    1.日本樹木医会様式(試案)の13項目(状況により項目減)の調査を行う「詳細調査」

    2.現況に合わせて4~5項目程度に限定した調査を行う「簡易調査」

    上位調査方法からいずれかを選択していただきます。
    なお、調査を行う前に調査費用の見積書を提出します。
    ※調査・診断の「費用」は、現場までの距離・調査内容などによって異なります。
    ※マツ材線虫病による枯損を判断するには症状の発現状態により判断が非常に難しいため時間を要する場合があります。

    <調査項目>

    1.概況調査、位置図、立地状況平面図、立地状況側面図、樹冠投影図、 樹形側面スケッチ、樹形写真地上部衰退度判定票、各種被害調査表、 被害部位等の細部写真、樹幹断面及び内部腐朽状況図、ヤニ流出量、病徴検査、 マツノマダラカミキリの後食痕・産卵痕調査、マツノザイセンチュウ検出、その他病徴診断)

    2.上記の調査項目から4~5項目を抜粋し、独自の調査表を作成する(簡易調査)

    <調査日数>

    現場状況・形状・対象木の状態にもよりますが、外業(現場調査) 内業(調査データの精査・整理)4~10日程度です。
    (詳細調査・簡易調査とも同じです)
    ※調査内容によって検査機関での検査料金がかかる場合がございます。

  3. Answer調査結果の報告

    精査・整理したデータを文献、症例等との照合・比較検討を行い原因を究明・推測し 「総合診断書」「処方箋」を作成し依頼者へ提出・説明。
    (簡易調査報告書\20.000~)
    総合診断に則った治療はお付き合いのある造園業者さまにご依頼していただくことも可能です。

  4. Planningお見積り・施工計画

    お客様のご希望と調査の結果を踏まえ、治療・処置の計画を行います。
    (人工、材料費、機械運搬損料、現場諸経費、薬剤費、交通費などのお見積りをいたします)

  5. Medical Treatment治療・施工

    治療・処置に関する計画書とお見積り書にご承諾いただいてから、工事請負契約。対象樹木の治療・処置に着手

  6. Answer施工の完了・報告

    治療・処置に関する一連の作業終了後、ご確認。完了。

  7. Paymentお支払い

    お支払いの時期や方法、内金の有無は、工事内容で異なりますのでご相談ください。

  8. After Meintenanceアフターメンテナンス

    治療後3年間は対象木を目視等による経過観察を行います。治療木に異常が確認された場合、症状の悪化、想定外要因、診断の見落とし等について考察・調査を行い依頼者側へ報告し、対応策等を相談します。

現地調査・診断

  1. 病徴検査

    周辺の松枯れ(マツノザイセンチュウ病の有無)立地・地形・土壌の確認。

    対象木に目に見える葉・枝枯れなどの症状を把握。樹勢診断をします。

  2. ヤニ流出量調査

    マツノザイセンチュウが樹体内に侵入するとまずヤニの流出量が減少します。

    ヤニの流出量をチェックします。

  3. 脱出孔・後食・産卵痕調査

    マツノマダラカミキリが成虫となり枯れた木から脱出(脱出痕)すると、近くにある元気な木の枝を食害します。

    (後食後) その際に樹体内に移動したマツノザイセンチュウが増殖し始めると樹勢が弱りヤニの流出が止まるためマツノマダラカミキリが産卵をします。(産卵痕)

  4. マツノザイセンチュウ検出
    (1.ベールマン法による検出)

    枯れた木より材片を採取。

    ベールマン法によりマツノザイセンチュウを分離・検出。光学顕微鏡で特定します。

    マツノザイセンチュウであることを確認するためには材片の採取時期・ザイセンチュウなどの個体差などにより専門的な知識が必要です。

  5. マツノザイセンチュウ検出
    (2.LAMP法によるDNA解析)

    枯れた松の木より材片を採取。

    LAMP法によるDNAの増幅を行い、蛍光物質により増幅の有無を判定します。

    材線虫が1匹でも検出出来るほど感度も高く、正確性が高い 成虫・死虫・卵からも検出可能。別途費用が必要です。

  6. 各種病虫害調査
    (1.病気)

    松は諸々の原因により木が衰弱してくると様々な病気にかかります。

    一見すると松くい虫の被害と混同される場合もあるため的確に松の状態・病気・原因を探ります。

    根本的な原因の改善、適する薬剤の処方をいたします。
    例、マツ葉ふるい病・マツ褐斑葉枯病・マツ赤斑葉枯病・すす葉枯病・灰色かび病など

  7. 各種病虫害調査
    (2.虫害)

    様々な昆虫類がマツを食害することがあります。

    深刻な症状をもたらすものもあるため、的確な予防と防除を行います。
    例、マツカレハ・アブラムシ・マイマイガ・マツノキハバチ・キクイムシ・ゾウムシ・ハダニ・カイガラムシ

予防・防除・治癒

  1. 予防
    薬剤散布
    (1.無人(RC)ヘリ散布)

    「森林病害等防除法」にもとづく補助事業として平成17年度から導入されました。

    環境問題などにより特別防除(空中散布)の出来る地域は限られているため、無人ヘリでは散布地域を限定して効率的に散布が可能。

    地上散布に比べて梢端部に重点的で広範囲な散布が可能なため地上散布に比べて薬剤使用量を大幅に少なくすることが出来る。

  2. 予防
    薬剤散布
    (2.地上散布)

    マツノマダラカミキリ成虫発生時季と発生最盛期直前に地上から動力噴霧器を用いて薬剤を散布します。

    高木専用防除機を使用すると樹高40mまで散布が可能です。

  3. 樹幹注入

    健全な松がマツノザイセンチュウ病(松枯れ)から守るため、11月から翌年3月までの樹脂流動の少ない時季に予防として薬剤を注入します。

    有効期間は1~7年ときわめて予防効果が高いのが特徴です。
    庭に植わる松への注入は通常の樹幹注入と比べて注意が必要です。

  4. 防除
    伐倒駆除

    松くい虫被害木の中にいるマツノマダラカミキリが成虫脱出するまでに、伐倒して薬剤によるくん蒸します。

    所定のくん蒸剤で7~14日間のくん蒸処理で100%の駆除効果が得られます。
    直径2センチまでの枝にも幼虫がいるので、被害木の枝・幹の徹底的な駆除が被害の拡大を抑えることに繋がります。

  5. 防除
    焼却・破砕駆除

    松くい虫被害木の中にいるマツノマダラカミキリが成虫脱出するまでに、伐倒して枝条を含めて焼却・破砕する完全な駆除法です。

    チップにする場合15mm以下にすれば越冬幼虫を完全に殺虫出来ます。

  6. 防除
    生物学的防除

    ボーベリア菌を培養した不織布を施用してマツノマダラカミキリが羽化脱出の際に感染死させます。

    また天敵の虫・鳥による防除、誘引物質によりマツノマダラカミキリの成虫を誘引します。

  7. 治療
    菌根菌樹勢回復治療

    松が衰弱する原因の中には、土壌の固結化による酸素・養水分の吸収減、根の伸長抑制。土壌富養化による免疫力の低下などがあります。

    症状に応じた土壌改良と外生菌根菌による樹勢回復治療の併用が効果的です。

    外生菌根 子実体
  8. 土壌改良

三楽
長野県松本市村井町北1-9-41
TEL・FAX:0263-87-4046

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